アロマセラピーのルーツ
こんにちは。
アン・リカン 斉藤理佳です。
暑い日が少し続いたと思ったら、寒い雨の日が多くて時々暖房が必要な札幌です。
沖縄は一番に梅雨明けしましたが、あなたのところはいかがでしょうか。
アロマセラピーの歴史をたどると、5000年以上も前にさかのぼります。
そのルーツは「植物療法」でした。
エジプト人は、紀元前3000年頃から、芳香植物をオイルに漬けこんだものを使っていました。治療に使ったり、儀式の時の薫香(くんこう)として焚いていました。
古代ギリシャ人は、エジプト人から芳香植物の医学的知識を受け継ぐとともに、植物の香りが人間をリフレッシュしたり、リラックスさせるという心理的作用に気づいたのです。
わたし達の祖先は、長い時間と経験の中で、植物が持つ不思議な特性や薬効を見つけ出し、生活に取り入れてきました。
この植物療法は、17世紀に化学療法(化学合成薬)が登場するまで、わたし達の健康にかかわる唯一の方法だったと考えられています。
東洋も同じで、インドではアーユルベーダ、中国では漢方が発達しました。
古代ギリシャでは、植物を使った効果の経験から作った植物療法の処方レシピを持っていた医師は、軍医としてローマ皇帝に雇われていました。
その中でも特に功績を残した人物として、ガレノスとディオスコリデスの2人がいます。
ガレノスは、現在の軟膏の原型となるコールドクリームを最初に創り出して、植物の効果を部門別に分類しました。
ディオスコリデスは、地中海周辺の多くの国で薬草を収集し、起源78年頃までに、
それらの植物の使用法について「マテリアメディカ(薬草誌)」として書物にまとめました。この本は、その後1500年にわたって医学の原点として尊ばれてきたのです。
ガレノス、ディオスコリデスなどの医師たちが作った薬用植物についての書物は、アラブ語に翻訳されて、ローマが衰退したあとに様々な経路を経て、アラブ世界に広がっていきました。
アロマセラピーの発展に大きく寄与した人物として、アラブの医師アブ・アリ・イブン・シーナ(アウィケンナ)がいました。彼は有名な錬金術師で、その実験を通して精油を蒸留する方法を完成させたといわれています。
アロマセラピーを、芳香植物から人工的に抽出された精油を用いる療法だと定義すると、この時代(9810~1037年)以前は、植物を浸出油・浸出液として使った植物療法となります。
厳密には、彼の発明がアロマセラピーの幕開けとなるでしょう。
それ以降の約900年間は、実は空白の期間なのです。その間、人々がどのように精油を利用していたのかよくわかっていません。18~19世紀には、科学者たちが創りだした合成薬が主流となり、しだいにアロマセラピーは陰に追いやられていったようです。
ところが20世紀にはいると、合成新薬の副作用が問題にされるようになり、その自戒を込めて古代から築き上げられてきた植物療法に、ふたたび人々の関心が集まってきました。
5000年の歴史を持つアロマセラピー。
安全性と確かな効果が、人々の日常生活の中にまで浸透して現在に至るわけです。
*参考文献:医師が認めたアロマセラピーの効力 カワバタクリニック院長 川端一永
(河出書房新社)
あなたの幸せを願って
アン・リカン
斉藤 理佳
0コメント